2021/04/26 12:59 ウェザーニュース
それぞれの会社が独自情報で天気を発表するため、各社の天気予報には違いがあります。ウェザーニュースでは、精度の高い天気予報を提供するため、日々予報精度の改善に取り組み続けています。
さまざまな予報がある中で、その当たり・外れは、どうなっているのでしょうか。
例えば、布団を外に干している方は雨が降るかどうかが気になるポイントであり、太陽光発電をされているご家庭では、雨が降るかどうかよりも日差しが届くかどうかの方が重要になりそうです。
【降水捕捉率】降水(雨や雪)の見逃しの少なさを評価
天気予報に対して一番多く耳にする"はずれ"の実態は、「雨の予報がなかったのに雨が降ってきた」というもの。傘を持っていなかったので移動中に服が濡れてしまった、外に干していた洗濯物を慌てて取り込んだなどというケースがあり、そのような事態に対する評価として『降水捕捉率』というものがあります。
降水捕捉率は、実際に雨が降ったところに対して、雨の予報が発表されていたかどうかを示したものです。
気象庁ホームページに掲載されている2021年3月の降水捕捉率は86%でしたが、ウェザーニュースの降水捕捉率を同じ方法(※1)で求めたところ、気象庁より3ポイント高くなりました。
ただ、この降水捕捉率は「雨が降ったところに雨の予報を出していたのかどうか」なので、雨が降っていないところの予報については、考慮していないものになります。
そのため、あらかじめ雨の予報を多く出しておけば、当たる確率が高くなるということになってしまいます。極端なことを言うと、全地点に毎日雨が降ると予報すると精度100%になるのです。
【適中率】雨が降る予報の精度+降らない予報の精度
雨が降る予報の時と雨が降らない予報の時と、両方への精度を組み合わせたものに『適中率』というものがあります。
この適中率とは、予報全体を対象として、
・雨が降る予報のところは、雨が降ったら正解
・雨が降らない予報では、雨が降らなかったら正解
というものです。
こちらも気象庁ホームページに掲載されている方法(※1)にしたがって、2021年3月におけるウェザーニュースの適中率を求めたところ91%となり、気象庁の90%を上回る結果となりました。
(※1)気象庁の評価方法に準拠し、朝5時に発表された当日の天気マークを対象としています。
対象地点は発表官署の所在している一次細分区域内のアメダスで、1日の積算降水量が1.0mm以上となった場合を「降水あり(雨雪)」としています。
日本においては、雨や雪が降る日と降らない日を比較すると、降らない日(晴れやくもりの日)の方が多く、エリアや季節によっては雨や雪の日が非常に少ないことがあります。そのため、雨や雪が降らない予報を毎回発表した場合でも、適中率が大きく下がることなく、高い精度となってしまいます。
一方で、降水捕捉率も「雨が降ったところに対して、雨の予報を出していたかどうか」なので、雨が降らなかったところの予報については、考慮されていません。それゆえに、あらかじめ雨の予報を多く出しておけば、当たる確率が高くなるということになってしまいます。
このようなどちらかに偏った予報を発表していては、天気予報が意味のないものになってしまいます。雨が降りそうなときはしっかりと雨が降る予報を発表し、雨が降りそうにない時は晴れやくもりの予報を発表するようにしないといけません。
そのため、複数の違う側面を持った指標で評価をして、その予報に偏りがない状態で精度を高めていくことが望ましいと考えています。
<日本中を網羅する独自観測ネットワーク>
ウェザーニュースでは、全国に数多くいる会員の方(ウェザーリポーター)に、今いる場所の天気や現地の空の写真をリアルタイムに共有して頂いています。それに加え、独自観測機やライブカメラなど、合わせて1万3000地点の独自観測網もあるため、詳細に天気を把握することができています。
<複数の予測モデルに加え、日々の評価で予測アルゴリズムを最適化>
ウェザーニュースでは世界各国にある気象機関の気象予測モデルの計算に加え、独自の気象予測モデルによる計算結果も取り入れて、日々の天気予報を作っています。これを、上記の独自観測ネットワークで把握した各地の現在の天気情報などを用いて日々評価し、最も精度が高くなるようにチューニングを行っています。
2020年は日々評価したこのチューニングによって、天気のパターンごとに独自の天気予報を出すアルゴリズムがより確立されて、昨年よりも精度の高い予報をお伝えできるようになっています。
<1km四方ごとの超高密度な天気予報>
また、この独自のアルゴリズムで発表される天気予報は、1km四方ごとと非常に高解像度な予報として発表されます。さらに、地域ごとの天気の特徴(地域特性)をアルゴリズムに取り入れることで、通常は予測するのが難しい局地的な現象についても、より正確に予報に反映することができています。
このように日々の降水パターンによって、見逃しと空振りのバランスをとりながらの予報となりましたが、これまで蓄積された知見と予測モデルの学習効果から、降水捕捉率・適中率ともに高い精度を維持することができました。
【宇野沢 達也】
ウェザーニュース予報センター 気象予報士。千葉県旭市出身 自治体防災担当職員から転職し入社28年目。予報精度改善チームで予報業務および精度検証・改善を行っている。
降水捕捉率 検証方法説明(気象庁ホームページ) https://ift.tt/2YdwYUE
気象庁 天気予報検証結果 https://ift.tt/2Oo5bw8
April 26, 2021 at 10:59AM
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天気予報の当たり・外れと精度評価指標の特徴 2021年3月を例に - ウェザーニュース
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